辻村深月が好きです。顔に似合わず。
最初に読んだのは確か『凍りのくじら 』。まさに暗く冷たい中でほんのりとした灯りを感じるような、染み入る小説でした。多くないとは思いますが、僕みたいに「なんで上から目線なの」など唐突に言われたことがあるタイプのひとは読んでみて損はないはずです。腐敗の辛さたるや。
一番好きなのは多分『スロウハイツの神様』。こちらはもっと明るい。何かを生み出す人達の棲む世界を描いているので、そういう挑戦をしている知人達の顔が思い浮かびます。芸術に限らず、表現とか創造とかに関わるひとは好きな人が多いんじゃないかと思います。きっとコウちゃんに惚れる。
薄ら寒く湿った世界を幾重にも受け止めた上で、悲壮感を漂わせることなく、どこかしらドライに、しかし誠実に前へ進む人達の勇気が描かれていて、好きです。辻村深月。
なぜ急に辻村深月なのかは不明です。昨日の月が綺麗だったからかも知れません。
秋の夜長にいかがですか。
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