改善しても無意味

僕が好きな例え話に「飛行機をいくら改善しても月には行けない」ってのと「顧客の言う通りにすると良い馬はできても自動車はできない」ってのがあります。

手段が似通っているように見えても、目的を違えると達成できるとは限りません。飛行機は空を飛ぶために作られた機械で、月へ行くために作られた機械ではありません。飛行機の改善を続けると、きっと飛ぶ速度が上がったり到達できる高度が上がったり、燃料効率が良くなったりして、空を気持ちよく飛ぶことはできるようになるでしょう。しかし、月へ行くという全く異なる目的はなかなか達成されないはずです。どちらも地上を離れるという機能的には似たところがありますが、そもそもの目的が異なるからです。

普通に暮らしていると、その見えている世界により思考が制限されることがほとんどです。馬しか交通手段が無い時代であれば、お客さんから出る意見はだいたい「もっと早く走る馬はないのか」「揺れない馬を育てろ」などになるハズ。それを真に受けると、いかに良い馬を生み出すのかということに苦心することになります。しかし、それでは馬よりも全く異次元の性能を持つような機械を生み出すことにはならないでしょう。顧客は常識にしばられがちなのに対し、革新は既存の常識からは離れることで生まれるからです。

いや、改善することが悪い、顧客の要望をそのまま実現するなって話では全くなくてですね。改善した先に何があるかとか、顧客の要望を実現する意味ってのは、常々意識しておかないとダメだろうという自戒です。

まあ、僕のシゴトで言えば、しばらく改善を回してお客さんの話を実現することに全力投球する必要がありそうですが。