各方面からの突っ込み歓迎

日本の林業に関する『これまでのあらすじ』みたいなものを書いてみます。

大まかに言うと、日本の森というのは「資源がない!木を切ろう!」「切りすぎた!土砂災害すごい!」「このままじゃ駄目だ!木を植えよう!」というサイクルを製鉄が流行り始めたころから何度か繰り返しています。

なんとなく日本の森は昔から豊かだったんだ!と信じたいところですが、江戸時代の浮世絵とか見るとハゲ山が多いです。デフォルメかと思いきや、どうやら山の中に数本の木が生えてるくらいの状態が普遍的であったようです。その後、幕府や各藩は必死で植樹活動をしたりしています。

最近で言うと第二次世界大戦中から戦後直後にかけて、燃料不足と建材不足に対応するため日本はひたすら木を切りました。そして案の定、土砂災害が多発します。それを受け、1960年頃から日本の山にはひたすら木が植えられることになります。殆どが、建材に適するとされたスギ・ヒノキです。

この辺の政府の方針なんかを追ってみると、花粉症の方は怒りの向け先が漠然とした『春』とか『スギ』とかよりも多少は具体的なところに行き着くかも知れません。ハゲ山に緑を!という耳触りの良い話でも、何が起きるか分からんものだなあという感じです。

とにかくその結果として、現在の日本にある山では多くのスギやヒノキが育っており、山にある木の量で言うと世界有数です。いわゆる田舎の山道を運転してると針葉樹が道脇から見える限りずーっと生えてたりしますよね。あれはだいたい戦後に植えられたやつです。

最近やっと樹齢50年くらいで、一般的な基準だとそろそろ切ってもいい頃なんじゃない?という感じです。それまでは若すぎて切れませんでした。

ところで。詳細は省略しますが、材料に適した木を育てるためにはやらなきゃいけない作業が幾つかあります。木は別に放置してても育っていくのですが、人間サマが使えるように育つかというとそうでもないので。枝打ちや間伐というのがそれです。

こういう枝打ちや間伐という作業をしっかりできている山というのは、意外と少ないようです。戦前から山仕事をしていた方はとにかく、戦後の植林ブームみたいなものに乗った方はなかなか手入れに意識が向きにくかったのかなと思います。まあ理由はもっといろいろありますが。

ということで、日本の山は、ものすごーく一般化して言うと、戦後に植えたスギやヒノキが量としてはたくさん育ってきているものの、工業製品としてはちょっとどうなんですかね…という状態です。木が曲がってたり、細すぎたり。難しいですね。

林業の流れを冒頭のサイクルに付け加える形で書くと「資源がない!木を切ろう!」「切りすぎた!土砂災害すごい!」「このままじゃ駄目だ!木を植えよう!」「育つまで我慢しよう…」「やっと切る時期!でも質が悪い!」ということになりますね。

あまり明るい話題に溢れてる感じではないです。これから林業は成長産業だ!とか書いてある記事を最近ちょくちょく見かけますが、眉唾ものです。でもまあこれまでの動きが鈍かった&いま転換期なので、これから楽しげな業界だなとは思います。

これからの林業がどうなるか、その中で私達がどういう役割を果たせるのか。乞うご期待です。