林業とは

わりと定義が怪しいまま使ってる気がします。林業という言葉。仕事内容が曖昧。イメージ的にはチェーンソーで伐倒したりしてる職業ですよね。国勢調査の分類によると以下の通り。

山林用苗木の育成・植栽,林木の保育・保護,林木からの素材生産,薪及び木炭の製造,樹脂,樹皮,その他の林産物の採集及び林業に直接関係するサービス業務並びに野生動物の狩猟などを行う事業所をいう。昆虫類,へびなどの採捕を行う事業所も本分類に含まれる。

木を育てる系の仕事、木を伐る系の仕事、木から出てくるものを集める系の仕事、昆虫やヘビなんかを集める系の仕事、薪や炭をつくる仕事、あとは狩猟ということらしいです。

チェーンソー以外でも、山にいる人のしそうなことはだいたい林業なんだなという感じですね。特に薪なんかは一次産業ではなく軽めの製造業。実際、山歩いてるとよく炭窯の跡があります。

まあでもやっぱり基本は、木を伐って売る仕事ってことになるんですかね。

実際、木を伐って売ろうと考えると何が必要か。まずそもそも伐る場所までたどり着くこと、伐ること、伐ったあとに運び出すこと、販売すること、そしてそれらに関わる事務処理等。

歩けばだいたいどうやってもたどり着くんですが、運び出すことを考えるとだいたい作業道みたいなものが必要です。せめて林内作業車が入れたりするようにしなければなりません。

作業道の開設をする時は、机上で設計して、実際に歩いて調査して、あとはその道沿いを伐倒しながら進んで、重機なんかで道をつけていく、というような流れが基本かなと思います。

そして、伐る作業。ただ根本からドーンと伐倒だけすればいい訳ではなく、丸太にしなければなりません。枝葉を払い、必要な長さに切る必要があります。これを採材、造材といいます。

あとはできた丸太を運び出し、販売する作業があります。市場か製材所に持ち込むか、どこかに置いておくか。販売のため、土場などで丸太を仕分ける作業をすることが多いです。

この丸太はスギ末口40cm直材で枝虫ありの黒芯だとかそういう話で仕分けをするんですが、基準は各社によって違ったりします。これが選木という作業になります。

木を伐って売る時は、何かしら届け出が必要になることが多いです。木は公共的役割を担う事が多いので、気づいたら森が無くなってしまった!というのを防ぐためですね。

あと、補助金を利用しようと思うと、作業道の基準や伐る木の本数や場所、やり方や記録方法なんかもいろいろと指定されていたりします。補助金漬けだと不自由になる所以です。

更に、仮にまとめて伐ったりした場合はその同じ場所に造林することが必要です。法律的に。造林するためには地面を耕して、獣害対策して、植え付けするという作業があります。

そして、植えた後でちゃんと木として成長してもらうには、陽射しがちゃんと当たるように草を刈らなければなりません。工業製品として価値を上げるには枝打ちや間伐も必要になります。

実際に伐ること周りだけを考えるとそういう話ですが、一歩引いて、山で継続的に事業をすることを考えると、全体の在庫量(というか資源量)の管理なんかが必要になってきます。

どこの山にどれくらい、どのような木があって、毎年どの程度成長するのか。それによって、1年でどの程度伐ることが可能なのかが分かります。適当にやるとハゲ山だらけになりますからね。

調査のやり方は様々です。各地でサンプリングしたり、飛行機やドローンを飛ばしてみたり、器具を背負って山を歩いてみたり。うちの村はサンプリングと飛行機でやってます。

そして在庫量と睨めっこしながら、伐採、植林・育林を通してどのように山を運用していくかを計画します。そういう計画書の作成は、一応制度的にも必須だったハズです。

制度では数年から十年程度を見ていればいいことになってますが、ホンキで考えると木の成長を考えてせめて50年くらいは見据えて置かなければなりません。孫の代ですね。

木を伐るなんてシンプルな仕事だなーって印象ですが、意外といろいろあって奥深いです。林業