参入障壁のひとつですね

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先日、村の中にある製材所「西粟倉森の学校」の方と山から出てきた材について話す機会がありました。おおよそ五十年生のヒノキを間伐している場所でのことです。50本ほどの丸太が積んであったのですが、その利用方法についての確認を行っていました。

「うちで板材として利用するなら、使えるのはこのうち3本くらいです」

そう言われました。当たり前ですが、これは原木生産側としては、かなりツラい話です。何十年もかけて育てて、わざわざ作業道を開設して、ようやく切り出すことができたヒノキが9割以上、ほぼ価値が無いということになるのですから。

理由としては様々なものがありますが、この場所の場合は径級があわないということでした。つまり、十分に木が太くなっていないということです。数センチの差ですが、商品を製造する以上利用する原材料に規格があるのは当然のことです。

しかし、この後に続いたことばが重要でした。

「うちだけだと使えるのはそれくらいですが、少なくとも15本はさばけるものがあります」

この西粟倉森の学校という会社はこのサイトにあるように内装材が得意な製材所さんですが、もともと西粟倉村で出て来る間伐材をより活用できないか?というミッションの下で設立された会社で、その課題に9年もかけて取り組んでいます。

その取り組みの中で、単純な製材だけでなく、原木の利用率を上げる方法についてしっかりとしたノウハウを築き上げています。周辺の製材所が持つ能力と流通を把握し信頼関係を結ぶことで、自分だけではコストの合わない原木でもしっかり活用できるのです。

単純に使えるものは3本だけなのに、15本まで価値を見いだせるというのはそういうことで、原木活用について真摯に向き合ってきた証左と言えるかも知れません。もちろん綺麗な話ばかりではないでしょうけれど、賞賛するべき成果です。

では翻って、原木生産側はどうか。

正直に言って、西粟倉村の掲げる"百年の森林構想"に於いては原木を売る側の立場が、売るためのワザを蓄積できていないというのが現状です*1。残念!笑 まあサボっていた訳ではなく、他の部分にチカラを入れてきたからですが。

このへんが、僕が村でどーにかできないかもがいてみる話のひとつです。

各プレイヤーが垂直統合を目指す流れは林業にもありますので、これから原木生産側に入っていくワレワレと西粟倉森の学校との関係がどうなるかは分かりませんが笑、彼らを見倣い山を見る目を養っていこうと思います。そしてそれは素材生産に限ったことではなく。

技術と知恵を身につけることで、世界の価値総量が上がって見えるのですから。

*1:あくまでも僕の個人見解ですよ念のため