林業

林業が儲からないという話

狭義の林業は、丸太を販売する職業ということになります。つまり丸太の売上から、丸太を商品として仕立てるまでにかかる費用を差し引いたものが利益になります。 丸太はm3あたり10,000円くらいの売上があって、木を丸太にするまでm3あたり8,000円弱の費用が…

作業工程表のスプレッドシートを公開しました

林野庁整備課が平成30年3月に公開した森林環境保全直接支援事業 環境林整備事業 作業工程表について、まとめ直しました。以下のGoogle Spreadsheetを御覧ください。 林業で必要な作業の単価計算を行う上で、ひとつ確認しておかなければならないのが国が想…

林業の記録をとっていく

ソフトウェア開発の世界では、生産性や品質を上げる仕組みについての議論が活発です。というかまあ僕の周りでは活発でした。様々な開発手法について勉強会が開かれ、これはこういう時に使うのが良いだとか、この手法を使う場合はこういうところに気をつけな…

シカ柵をした山の写真

西粟倉村内の山に、部分的にフェンスで覆った場所があります。フェンスで囲むとシカが食べられないので、部分的に緑色の林床が復活します。写真だと少し分かりづらいかもだけど、実際に見ると明らかにそこだけ砂漠化が止まったみたいな雰囲気です。囲ってな…

林業の流れについて

林業をものっっそく狭義にビジネスとして考えると「丸太をつくる」仕事なわけですが、山からどうやって丸太が出てくるのかというのは、わりとイメージつきにくいです。 僕自身、去年ここに来るまで全然ナゾでした。木を伐るんだろうなくらいしか分からないの…

いいやまつくろう

林業関係で「良い山」つくろう!みたいな話題はよく出てくるんですが、あまり「良い山」の内容について明確な答えが出てくることは少ないです。あの頃の山は良かった、とかは聞くんですけど。50年後こうなってると「良い山」だよね!というのはどうも曖昧で…

スギ130万本とヒノキ220万本

西粟倉に生えてるスギとヒノキの材積量とかいろいろまとめてみました。 ※0.3m3台以下 思ってたよりスギ・ヒノキの差が多かったです。でも山の雰囲気思い出すとこんなもんかも。ヒノキはヘクタールあたり1200本くらいで放置されてる山が多い印象。 資料はこち…

西粟倉のスギは1,282,372本

西粟倉村およそ58平方キロメートルの中に生えているスギの本数は、昨年時点で130万本弱でした。データ上は1,282,372本。以下に幾つかグラフを掲載します。 順に樹高、径級、単木あたり材積 百年の森林構想では不良木をとる定性間伐を基本にしているので、こ…

西粟倉もレーザーで森林の計測してます

今日はフィンランド・日本合同シンポジウム「レーザーセンシングによるICTスマート精密林業」を聞きにきています。フィンランドすごい!というのが基本。でも聞いてて思いましたが、西粟倉村はセンシング的な意味ではけっこう世界レベルで頑張ってる。という…

林業用顧客管理ツールが欲しい

施業集約化に特化したCRMが欲しいです。 一般的に、林業は狭い範囲でやると効率が悪いです。安定した生産性の高い作業路網を敷くにはある程度の広さをまとめて扱う必要があるのが、その主な理由です。しかし、日本の山林は多くの人が細かく分割して所有して…

残すもの

50年後。日本は人口3割減の8800万人で4人に1人が75歳以上。想像だにできません。大変そうです。それだけでなく、技術屋や学者な知り合い達はみな、この国を待つ未来について悲観的な未来を描いています。そんな半世紀後を見据えて山を経営することを考えると…

木で服をつくるフィンランド

諸事情でフィンランドの山について少し情報を頂いたので、簡単にまとめます。 フィンランドの林野政策は2015年に制定された10ヵ年計画を基本としている。 林業会社の競争力強化、林産物の多様化、持続可能な山林管理が政策の目標。 森林蓄積は過去40年で40%…

作業道の日記

最近は台風等で遅れた今年度の現場検査などを行いながら、来年に向けて丸太を搬出する場所の計画を立てています。計画って(笑)伐る範囲決めるだけでしょ?と思いがちですが、実際は作業道の設計に神経をすり減らすことになります。 非効率な道は費用が売上…

カナダのひとだった

森林管理について何かいい感じの情報ないかなーと思って、某巨大コミュニティサイト(英語)に投稿したところ、 「おいおい日本からの投稿だなんて珍しいな!頑張れよ!」 と凄く応援してもらってしまった(情報はほとんどくれなかった)。人工林の面積が世…

旧日本軍がダメ組織だった理由

戦略における目的が曖昧。将来を見据える視野に欠ける。判断が場の空気に支配されてしまう。選択肢が昔と変わらず狭いまま。技術開発がアンバランス。人間関係の維持が成果よりも重視される。各チームの最終目的が統一されない。学ぶ仕組みが組織にない。プ…

未来を描いて引き寄せる

山形県は金山町に来ています。享保の時代に行われた「土俵植え」で、樹齢280~300年程度のスギなんかを見せて頂きました。西粟倉にある樹齢100~150年のものとはやはり迫力が違います。 そんな巨木以外にも、金山町は樹齢80年程度のスギを基本としたカスケード…

世界一のツリーとヒノキ教

こんなプロジェクトをご存知でしょうか。 とてもカンタンに言うと、富山から全長30mのアスナロを神戸に移送、植樹してクリスマスツリーにする!という試みです。 ところが、コレかなり炎上しました。 Google トレンド を見る限りだと、植樹式のあった17日…

岡山のスギは9億円

日本の市場規模を大まかに掴むことができる、市場規模マップを眺めてみました。ソフトウェアエンジニアの@blue6_さんが作ったもので、ベンチャー界隈で定期的に流れてきます。 いつ見ても、自動車やっぱスゴイなーとか、生命保険意外とデカイなーとか思った…

お前ら山をナメてるよな

4月に西粟倉村へ来てからずっと「山ナメてんのか」と言われ続けています。 そりゃあ、東京で生まれ育った人間が林業に関わりたいですって言ったらそうなります。実際ナメてるんだと思います。いかに大変なのかという部分にはまだ全然触れていませんので。頭…

林業におけるスーツとギーク

出羽守にはなりたくないんですが、IT業界では云々というようなことを林業について思うことが結構あります。構造はちょっと違うんですが、ギークとスーツ抗争の話は林業でも雰囲気がスゴイ似てるなーと思うことがしばしばあります。 ギーク(geek)というのは、…

林業の課題についての資料

林野庁からこういう資料が出てました。 森林・林業・木材産業の現状と課題:林野庁 山に関わる3分野(森林、林業、木材産業)それぞれの現状と課題がまとめられています。いろいろ情報があって分かりづらいですが、最後の方にあるこのスライドは言いたいこ…

遠いからこそ話しやすいという

先日つくった動画を某所で共有したら、アメリカ人の林業屋さんが「日本の輸入業者は基準が厳しくて取引が面倒」と言ってました。その後に続いたのは「中国や韓国なら何でも買ってくれるんだけど」という話。先日も韓国が日本ではワケの分からない規格の原木…

林業とは

わりと定義が怪しいまま使ってる気がします。林業という言葉。仕事内容が曖昧。イメージ的にはチェーンソーで伐倒したりしてる職業ですよね。国勢調査の分類によると以下の通り。 山林用苗木の育成・植栽,林木の保育・保護,林木からの素材生産,薪及び木炭…

林業体験会と若者募集について

西粟倉村で、林業体験会が開催されます。 11月11日(土)ともう直近ですが、そして木薫國里さんの勉強会と被ってしまっていますが、間近で林業機械がグォングォンいってるところを見たい方、チェーンソーで丸太をぶった切りたい方、お待ちしてます。お申…

龍の子太郎と林業ギョーカイについて

最近「龍の子太郎」という童話を思い出します。初めて読んだ時、なんだコレ!これ童話にしていいの?と思った記憶があります。なんて偉そうな子ども…。 とにかくその衝撃を受けた部分を、僕の記憶を頼りにちょっと説明します。ホンモノと違って覚えていたら…

風の爽やかさを感じる風力発電とか

なんとなくですが。「村内の木を使って家具をつくる」と言うと、自然に優しい職人さんのお話が思い浮かびます。でも「村内の木を使って燃料にする」と言うと、自然破壊を顧みない悪徳業者がイメージされます。どうですかね? それぞれで利用する木の量が違う…

日本林業の動画(英語)

www.youtube.com 以前も日本における林業のあらすじ的なものを書いたけど、今度は英語で動画にしてみました。気分転換と、来年やる国際林業サミットに向けた下準備です。あまり何も考えずにKeynoteで作ったので、解像度がが変だったりレンダリング失敗したり…

国産材が高いというのはどうなの

今日は昼前頃から近場の原木市場に行ってきました。年に一度の記念市ということで良い原木が多く、人の入りも普段より多いようでした。和歌山ナンバーを付けた車も見かけるほど。 ほんの一部ですが、セリの様子を動画で撮りました。地元の小さな市場というこ…

ちょっとした妄想です

国際林業サミットを西粟倉村でやろうと思います。 林業は山を扱うので、場所によって大きく左右されます。樹種、降水量などの条件、山の勾配、などなど。例えば日本のヒノキはおおよそ50年で伐期を迎えますが、ニュージーランドで植えられているラジアータ…

各方面からの突っ込み歓迎

日本の林業に関する『これまでのあらすじ』みたいなものを書いてみます。 大まかに言うと、日本の森というのは「資源がない!木を切ろう!」「切りすぎた!土砂災害すごい!」「このままじゃ駄目だ!木を植えよう!」というサイクルを製鉄が流行り始めたころ…